甘利明経済再生担当相は21日の参院決算委員会で、週刊文春が報じた金銭授受疑惑について、建設業者と大臣室で面会したことを認めつつ、金銭授受に関する記憶はあいまいだと説明した。進退を問われ「託された職務を全力で全うする」と辞任の可能性を否定。併せて「法律に違反するようなことはしていない」と強調した。一方、野党側は辞任を要求した。
国会は、安倍晋三首相の施政方針演説など政府4演説を22日に実施。衆参両院本会議での各党代表質問を経て、2016年度予算案の審議が本格化する。環太平洋連携協定(TPP)交渉を主導し安倍内閣の主要閣僚である甘利氏の疑惑は、審議の火種となりそうだ。
甘利氏は、建設業者から大臣室で金銭を受け取ったとの文春報道について「表敬訪問を受けたのは事実だが、正確に何をしたのか記憶があいまいなところがある」として、第三者による調査を実施すると答弁。調査結果の公表時期に関しては「全体像が把握できていない。見通しが立った時点で説明する」とした。首相は「甘利氏は自らの説明責任を果たすと言っている。その責任を果たしていくと確信している」と述べた。
民主党の安井美沙子、江崎孝、おおさか維新の会の清水貴之各氏に対する答弁。
500万円「受領」秘書が認める
甘利明経済再生担当相をめぐる金銭授受疑惑で、公設秘書が千葉県の建設業者から供与を受けたと週刊文春が報じた500万円について、この秘書が「受け取った」と話していることが21日、関係者への取材で分かった。一方、政治資金収支報告書には200万円しか記載されていない。300万円については「(会社側に)返した」と説明しているという。
文春によると、建設業者は県道工事をめぐる都市再生機構(UR)との補償交渉を甘利氏の事務所に依頼。秘書は2013年8月、大和市内の事務所で謝礼として500万円を総務担当者から受け取ったとしている。
政治資金収支報告書によると、200万円は、甘利氏が代表を務める自民党支部と、甘利氏の元秘書の神奈川県議が代表を務める同党支部に100万円ずつ記載されていたが、300万円は記載がなかった。
関係者によると、秘書は500万円について「受け取った」と説明。一方で記載のない300万円は「(総務担当者に)返した」とし、「領収書はない」とも話しているという。