
政府による国立大の人文社会科学系学部の組織見直しに反対するデモ行進が17日、横浜・みなとみらい21(MM21)地区で行われた。人間文化課程が廃止される横浜国立大学の学生ら約70人が喪服をイメージした黒い服装で抗議の意思を示し、「『社会の役に立たない』と見直しを求めることは勝手な理想の押し付け」と政府の姿勢を批判。「個」を大切にし、多様な価値観を尊重するよう訴えた。
文部科学省は昨年6月、教育養成系と人文社会科学系学部の廃止や組織見直しを求める大臣通知を出した。横浜国大は2017年度に学部改編し、教育人間科学部の人間文化課程を廃止する。
デモは昨年12月、当事者の意見を言う機会がないことに疑問を持った同課程の学生が発案。周囲に呼び掛け、有志で実現にこぎ着けた。
横国大をはじめ、全国的な人文社会科学系学部の廃止や縮小などの流れに「哀悼の意」を示すとして、参加者の多くは黒服姿。花束を持ち、黙とうしながら、トランペットを吹いたり、太鼓を打ち鳴らしたりして練り歩いた。
主催した同課程4年の本村宗一朗さん(23)は「政府は実際に勉強している学生の存在を無視している。『社会が必要とする人材を育てる』という一方的な考えにも違和感を持つ」と指摘。大学では「各自が社会の枠組みにとらわれずに研究し、多様な価値を広げていく大切さを学んだ」と強調し、人文社会科学系学部の重要性を訴えた。