重粒子線治療の保険適用について国の先進医療会議は14日、切除不能な骨軟部がんに公的医療保険を導入することを決めた。一部の治療費用に公的保険が適用される現行の先進医療Aから格上げされた。また、頭頸部(とうけいぶ)、肺がんなど、大別して8種のがんは先進医療Aに据え置かれた。
重粒子線治療をめぐっては、2010年の同会議で、部位によっては手術やエックス線治療など既存の治療と比較して効果が認められないと指摘され、がんの発症部位ごとに取り扱いが議論されてきた。先進医療Aよりも対象者が限定的な先進医療Bや全ての治療費用を自己負担する自由診療への「格下げ」も検討されていた。
同会議は、切除不能な骨軟部がんについて「既存治療と比較して上回る有効性を示している」とし、保険の導入を決定。頭頸部、肺・縦隔、消化管、肝胆膵(すい)、泌尿器、乳腺・婦人科、骨軟部、転移性がんは先進医療Aに据え置かれる。先進医療Bなどに移行するがんについては今後、議論される。
県立がんセンター(横浜市旭区)では2月に重粒子線治療が始まる予定。県県立病院課は「治療費用への影響が心配されたが、多くのがんで『格下げ』が回避され、ほっとしている。患者のことを第一に考えてくれた結果」と評価していた。