
「本県にも影響が大きいので、知事からも要望をお願いします」
「分かった。すぐに行こう」
昨年8月。国の先進医療会議で診療報酬改定が議論されるなか、重粒子線治療の費用が増額されかねない事態となり、危機感を募らせた県の担当幹部は知事の執務室で対応策を話し合った。その場にいた県県立病院課長は、すぐさま国に要望書を提出することで意見が一致したと記憶している。
課長は当時、平静を保って状況を説明したが、心中は穏やかではなかった。「このままでは大変なことになる」。嫌な汗がにじみ出るのを感じた。
分類変更
重粒子線治療は現在、費用の一部に公的医療保険が適用される「先進医療A」に分類されているが、現在、先進医療会議では治療する部位別に変更が検討されている。