箱根山(箱根町)の大涌谷で火山ガスの定点観測を続ける東海大の大場武教授は8日、今年初の調査を実施し、採取したガスの組成変化から「火山活動の緩やかな低下が続いている」ことを確認した。昨年11月20日に噴火警戒レベルが最低の1(活火山であることに留意)に下がってから1カ月半が経過したが、火口や温泉供給施設の蒸気井からは依然として蒸気が勢いよく噴出しているという。
活動の活発度を示すガス中の硫化水素(H2S)に対する二酸化炭素(CO2)の比率は3・3で、12月8日に行った前回調査時の4・3からわずかに低下。大涌谷周辺の噴気地帯も同様の傾向を示していた。
一方で、大場教授は立ち入り規制が続く大涌谷の状況について「風向きによっては二酸化硫黄(SO2)の臭いが強く、一般の人が近づくのは危険な状況」と指摘。「落ち着くまでには数カ月程度はかかるのではないか」との見方を示した。
県温泉地学研究所によると、箱根山で起きる微少な火山性地震は1日当たり1~4回に減少し、発生のない日も多い。だが、箱根ロープウェイ大涌谷駅一帯はSO2の濃度が高く、町などは規制を継続するとともに周辺を通行する車などに立ち止まらないよう注意喚起している。