
夏の参院選に向け、安全保障関連法の廃止や立憲主義の回復を掲げて立ち上がった「市民連合」。5日、初の街宣活動でマイクを握った思想家の内田樹さん、精神科医の香山リカさん、映画作家想田和弘さんがそれぞれに語った闘うわけ-。
立ち止まり転換議論を
思想家・内田樹さん
安保関連法案が強行採決される直前の昨年9月半ば、国会前のデモに行き、不思議な気がしていた。
国会内では、戦争ができる国にしようという体制の根本的な変換が、ろくな議論もないままなされようとしていた。対して国会の外側を取り囲む人たちが、ちょっと待てと言っていた。
私が知る限り若者の政治運動とは、体制をただちに徹底的に変換しろという主張で、対する保守党の政治家たちが、いや、既存の政治システムをもっと丁寧に使い回していこうと説得するのが常だった。9月に目にしたのはそうした保守と革新の対立ではなかった。
きょうの街宣でもみなさんが「安倍政権の暴走を止める」と言っている。いま政権の中枢、政治、経済、メディア、学会が全部暴走している。そこでわれわれが感じているのは生身の生物としての不安と懸念、危機感だ。