富士山の大規模噴火を想定した県などによる合同防災訓練が5日、大井、中井の両町で行われた。合同訓練は秦野市などで実施した昨年に続き2回目で、県と両町のほか、県警、小田原市消防本部、地域住民ら計約160人が参加した。
富士山の噴火警戒レベルが5(避難)となり、噴火が切迫している状況を想定。大井町では、降灰被害で孤立などの恐れがあるとして、防災行政無線で避難指示を知らせ、地域住民が一時避難場所に集まって安否確認を行った。
同町内のグラウンドでは、降灰の影響で発生した土石流に巻き込まれた乗用車の運転者を救出する訓練も実施。住民らが見守る中、県警が今年導入したホイールローダー(タイヤ式トラクターショベル)を使って土砂やがれきを除去した後、油圧カッターなどで車のドアを開けた。
また、火山災害に対する意識を高めてもらおうと、県温泉地学研究所の研究員が講演。富士山の火山活動の歴史などを紹介し、「県内では噴石や溶岩流の心配はないと考えられるが、大量の火山灰が降る可能性がある」と説明した。
参加した大井町篠窪の小島真喜夫さん(68)は「富士山は美しい山というイメージで、噴火に対する意識がほとんどなかった。今回の訓練を機に、家庭でも対策をちゃんと話し合いたい」と話していた。