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政権と財界 重なる思惑
時代の正体〈231〉加速する武器輸出

社会 | 神奈川新聞 | 2015年12月4日(金) 13:20


独協大・本田浩邦教授
独協大・本田浩邦教授

 パリ同時多発テロは予期せぬ惨事ではなかった。引き金となった過激派組織「イスラム国」への空爆開始以降、独協大学の本田浩邦教授は報復の連鎖を危惧していた。「テロに『抑止力』は通用しない」。確信は深まり、日本を憂う。

 9月19日、安全保障関連法が成立した。10月1日には防衛装備庁が発足し、武器の研究開発や調達、輸出拡大の司令塔役を担う。

 「拡大した自衛隊の海外展開と加速する武器輸出の動きが、日本への報復を招きかねない」

 テロは対岸の火事では決してない。

反対のうねり


 国会前だけではない。全国の街角で安保関連法反対のうねりがいよいよ勢いを増していた9月15日、経団連は「防衛装備品の海外移転は国家戦略として推進すべき」とする提言をまとめた。武器輸出を国策の中核に据えるよう迫り、こうも主張した。

 「(国会で審議中の)安全保障関連法が成立すれば、自衛隊の国際的な役割の拡大が見込まれる」「自衛隊の活動を支える防衛産業の役割は一層高まり、その基盤の維持・強化には中長期的な展望が必要」「政府の方針のもと、産業界は、わが国や世界の安全保障に資する国際共同開発・生産に積極的に貢献する」

 武器の輸出を原則禁じる「武器輸出三原則」を掲げてきた日本。財界は輸出解禁にかじを切るよう求めてきた。安保関連法をめぐり安倍政権への批判が強まる中、「この機会を逃してはならないと危機感を強めたのだろう」。なりふり構わぬ露骨な後押しに、本田教授は眉をひそめる。

財界が成立切望



 「武器輸出には自衛隊の国際的な展開が欠かせない」。財界が安保関連法の成立を切望した理由だ。

 昨年4月、安倍政権は武器輸出三原則を撤廃し、一定の要件を満たせば武器輸出を認める「防衛装備移転三原則」(新三原則)を閣議決定した。「原則禁止」から「原則解禁」への大転換だった。

 ただ、武器は売って終わりではない。相手国の軍隊に対し、効果や使用方法の説明が必要だ。「安保関連法が成立し、自衛隊の海外での任務が大幅に拡大したことで、武器輸出に必要な実戦経験に基づくノウハウやデータを獲得できるようになった」。自ら使用して販売促進につなげる。本田教授はそこに「原発輸出と国内再稼働の関係にも通じる」手法をみる。

 安保関連法はまた、自衛隊の地球規模の活動にも道を開いた。新三原則は武器輸出を「平和貢献・国際協力の積極的な推進」や「(日本の)安全保障」に資する場合などに限定しており、今後は安全保障を名目にすることで、武器輸出のマーケットが世界中に広がったともいえる。

 「武器輸出をアベノミクスの成長戦略に事実上位置付ける安倍政権とビジネスにつなげたい財界の思惑が、ぴたりと一致した」

スピンオフに期待


 「軍需企業にとって武器輸出は大きなビジネスといえるだろう。ただ、企業は武器を売ってもうけるよりも、スピンオフ(軍事技術の民生転用)に期待している」。本田教授の持論だ。

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