
旭化成建材(東京)のくい打ち工事データ改ざん問題で、川崎市は11日、同社がくい打ち工事を行った市の公共施設3カ所でもデータ流用による改ざんが見つかったと発表した。いずれも建物の傾きやひび割れなどの異常は確認されておらず、全てのくいも支持層と呼ばれる固い地盤に達しているとして、市は「現時点で安全と判断している」としている。県内では横浜市の2カ所に続く判明。
市によると、流用が判明したのは2013年度竣工(しゅんこう)の市営桜本住宅(川崎区)と11年度竣工の臨港消防署(同)、10年度竣工の宮内小学校(中原区)。同住宅ではくい35本のうち22本、同消防署で28本のうち3本、同小学校は119本のうち21本でデータ流用があった。
くいが支持層に到達したかをみる電流計データが同じ工事の別のくいのデータを流用していたり、くいの先端を地盤に固定するセメント量のデータに他のものが使われていたりした。市が親会社の旭化成に確認したところ、10日に流用の事実を認めた。
3カ所とも、問題の発端となった横浜市都筑区のマンション工事の現場担当者は関与していない。
市は施工記録からいずれも設計図書通り支持層に達していることを確認。セメント量も実際の使用量を納品伝票で調べ、問題がないことを確認。目視による現場調査でも建物の不具合は見られなかったという。
市は「安全性に問題はなく、施設の利用を見合わせるなどの措置は必要ないと判断している」と説明。12日に桜本住宅と宮内小学校で、住民や保護者らを対象に説明会を開く。市は旭化成建材が関与した市有施設12件の調査を進めていた。