鎌倉の歴史の転換点ともなった震災について振り返る講演会が8日、鎌倉市内で行われた。災害史研究の第一人者で歴史地震研究会元会長の北原糸子さんが、被害の特徴とともに復旧・復興に関わった人々や社会の動きを語った。
北原さんが取り上げたのは、相模湾などに延びるプレート(岩板)境界部「相模トラフ」で起きた1703年の元禄関東地震と1923年の関東大震災(大正関東地震)。いずれもマグニチュード(M)8級の巨大地震で、激しい揺れと津波を伴った。
元禄地震に関しては、戸塚宿で地震に遭った京都の神官の記録を基に「切り通しがほとんど崩れ、光明寺の付近などが津波に襲われた」と解説した。
一方、東京、横浜を中心に未曽有の災禍となった関東大震災については、長谷の火災や材木座の津波などを描いた絵図を示しながら鎌倉の被害も大きかったと指摘。しかし、文化的にも重要な都市だったことなどから「復興は停滞せず、都市開発が進んで人口も増えた」と分析した。
「被害や復旧・復興は社会のありようを反映している」とも語った北原さんは災害史研究をさらに深化させる必要性も強調した。
講演会は、鎌倉国宝館で開催中の特別展「鎌倉震災史」の一環。12日には市の担当者による防災講話もある(申し込みは11日まで)。問い合わせは、同館電話0467(22)0753。