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【動画】朗読と音楽で語り継ぐ憲法 俳優・金田さんらCD収録

社会 | 神奈川新聞 | 2015年11月8日(日) 03:00

「日本国憲法・前文」を収録する金田さん(左)と丸尾さん=横浜市金沢区の音楽スタジオ
「日本国憲法・前文」を収録する金田さん(左)と丸尾さん=横浜市金沢区の音楽スタジオ

 国民主権、平和主義、そして基本的人権の尊重。この三つの基本原理が盛り込まれた日本国憲法の前文に親しんでもらおうと、朗読と音楽で語り継ぐ人たちがいる。「私たちの豊かな暮らしを支えているのが憲法。その精神に耳を傾けてほしい」と願いを込め、CDに収録した。17日には藤沢市で朗読ライブを行う。

 俳優の金田賢一さんと音楽家の丸尾めぐみさんのユニット「朗読三昧(ざんまい)」。2007年に結成し、全国で活動している。「日本国憲法・前文」と題した作品は、丸尾さんが中学生の娘役となり、父親役の金田さんと前文を読み進めながら理解を深めていくストーリー。3年前から上演しており、「難しいと思っていた憲法が、すっと心に染み入っていく」と好評を得ているという。

 〈そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する〉 金田さんが朗読すると、丸尾さんは自ら意訳した詞をピアノの演奏に合わせて歌い上げる。

 ♪私たち国民が/心から信頼する人を選び/託することから/始まる/まず私たちがいて/私たちの思いと言葉を/預ける人がいる/そして必ず/私たちに/還(かえ)る-。

 〈これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する〉
 ♪いつの日も/どこででも/変わらない約束/いつの日も/どこででも/立ち返る約束/約束を守るための/努力をする決意-。

 優しい口調で憲法の精神を心地よく紡ぎだす。そして、2人はハーモニーで強調する。♪ひとりひとりがそう思えるように-。

 収録は10月21日、横浜市金沢区の音楽スタジオで行われた。立ち会った横浜生まれのミュージシャン中村裕介さん(63)は「今の憲法ができて68年。民主主義が大きく変質しつつあるからこそ、国民主権をうたう前文に耳を傾ける意味は大きい」と話す。

 朗読三昧は横浜にちなむ作品を中心に多彩な演目を上演してきた。2人が今、気になるのは憲法前文をはじめ、広島の原爆投下やシベリア抑留など、平和をテーマにした作品だ。

 「誰だって平和がいいに決まっている。この国は平和かもしれないが、幸せでないかもしれない」。金田さんは続ける。「なぜ自分たちがここにいるのか、この国にはどのような歴史があったのか。忘れてはならない過去を私たちが語り継いでいかないと」

 前文の朗読は9分余り。金田さんが最も好きな場面は、最後の一文を語りかける瞬間だ。〈国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ〉
 「特に『国家の名誉』という言葉は今となっては死語だよね。でも、その言葉には覚悟を決めた力強さがあり、時代を超えた魅力がある」。これからも前文を語り続けるつもりだ。

17日に藤沢で朗読ライブ


 前文と山崎洋子作「天使はブルースを歌う」の2演目は17日、藤沢市民会館大ホール(藤沢市鵠沼東)で開かれる「かながわ国際人権集会」の県民集会で披露される。参加費千円(資料代)。問い合わせは主催の神奈川人権センター電話045(271)1455。

 前文を収録したCD「朗読三昧~本当は生で聴いてほしいんだけどなぁー VOL1」は12月6日にリリース。2千円(税別)。

 ◆日本国憲法前文 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

 
 

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