
【時代の正体取材班=石橋 学】海老名市が条例で市民の表現行為を制限している海老名駅前自由通路の問題をアピールしようと、市民団体「#マネキンフラッシュモブ@かながわ」は8日、同自由通路でパフォーマンスを行った。マネキンに扮(ふん)し、「海老名の条例ヤバイです。不自由通路カヨ!」「海老名の条例では『デモはぜったい禁止』らしいんだけど、それ憲法違反じゃね??」などと書かれたプラカードを手にポーズを取り、道行く買い物客らの目を引いた。
市条例は自由通路でのデモや集会を禁じ、署名や宣伝活動を許可制にしている。市は昨年3月、マネキンフラッシュモブのパフォーマンスがデモに当たるとし、参加者の市議に禁止命令を出した。市議や同会メンバーは「道交法や憲法を逸脱して規制する条例は無効」などとして、命令の取り消しなどを求める行政訴訟を起こしている。
同会共同代表の朝倉優子さんは「交通を著しく妨げない限り、自由な表現活動は私たちの権利。憲法違反の条例に従う必要はないと示すため、無届けでパフォーマンスを行った」と話した。
同自由通路の指定管理者はこの日、申請が必要なことを同会に告げたが、制止することも、パフォーマンスがデモなどの禁止行為に該当すると指摘することもなかった。
訴訟の原告団の一人でもある朝倉さんは「県内各地でパフォーマンスをしてきたが、申請を求めてきたり、文句を言ってくるのは海老名市だけ。指定管理者の対応からも、一般的に見て私たちのパフォーマンスがデモ行為に映らないのは明らかだ」と指摘し、条例の特異さと、「デモ」とみなして禁止命令を出した市の恣意(しい)的な判断をあらためて批判した。
横浜地裁に起こした訴訟は昨年12月12日、第3回口頭弁論で結審。被告の市側が初めて示した法律上の主張に対し、反論の機会を求める原告側の声をさえぎり、大久保正道裁判長は審理の終結を宣告した。判決は3月8日に言い渡される。
朝倉さんは「十分な主張をさせてもらえないまま判決を迎えることになるが、主張の正しさは行動を積み重ねていくことで証明する。争いを避けていては権利は守れない。私たちのパフォーマンスをやめさせることができるのか、憲法に問うていく」と話している。