
横浜市は30日、旭化成建材によるくい打ち工事でデータ流用があった公共施設が市立あかね台中学校(青葉区)であることを明らかにした。市側は11月1日に保護者や地域住民を対象にした説明会を開き、データ流用の内容とともに、建物の安全性に問題がないことを伝える。
市によると、同校は2011年4月に開校。現在は約630人の生徒が在籍している。流用されたのは全210本のうち、15本のくい先端部分に注入するセメント量に関するデータ。当該は校舎棟南、西側の11本と、管理棟南側の4本。
市は、全てのくいが強固な支持層に届き、データ流用がないこと、現時点で建物の不具合が発生していないことなどを踏まえ、「都筑のマンションとは決定的に違う」と説明。その上で「コストや工期の影響ではなく、単純に機械の不具合や担当者の操作ミスで記録されなかったのではないか」との見解を示した。
また、15本のくい先端に注入されたセメント量が現時点で分からないものの、「(セメントの納入記録などから)それぞれのくいに十分の量が入っていると推定できる」とした。
生徒を通して保護者には30日に文書で通知した。市教育委員会の高倉徹施設部長は「説明会で事実関係をできるだけ分かりやすく伝えたい」と話した。
同校の浜本貴康校長は「早期に安全性が確認され、生徒が安心して学校生活を送れるよう願っている」とコメント。同日午前9時ごろ、保護者や生徒計約700人を前に、データ流用について説明し、安全性を強調した。
ある保護者は「データ流用の話を聞いてびっくりしたけど、先生方はいつも一生懸命やってくれているので信じている」と話した。2年生の女子生徒の母親は「次々と不正が明らかになり、不安が膨らむ。安全性に問題がないか、しっかりと調べてほしい」と、心配そうな表情を浮かべた。