横浜市都筑区のマンション傾斜問題で、市は29日、旭化成建材がくい打ち工事を行った市の公共施設1カ所でも、15本のくいにデータを流用する改ざんがあったと発表した。同マンションと同種のくいが使われたが、同じ男性担当者は関与していない。市は、全てのくいが強固な支持層に達しているとして現時点で安全性に問題はないとしている。今週末に利用者向け説明会を開いた後、施設名を明らかにする方針。
市建築局によると、データの流用が見つかったのは、市内の元請け建設業者が新築で施工した施設。1棟のみで計210本のくいが使われた。そのうち15本のくい先端に注入するセメント量に関するデータが流用された。
市は16日から市所有の公共施設約2500カ所のうち、旭化成建材がくい打ち工事を行った施設を調査。そのうち1施設で都筑区と同種のくいが使われたことが判明し、市とデータの分析を進めていた元請け業者が29日未明に流用を指摘したところ、旭化成建材が認めたという。
市は施工記録から、210本のくいは支持層に達していること、そのデータに流用がないことを確認した上、目視による検査で建物の傾きやひび割れなどの不具合も発生していないと説明。そのため、施設の利用を見合わせるなどの措置は必要ないとしている。一方、実際のセメント注入量が不明のため、引き続き調査を続ける。
林文子市長は会見で「市が発注した公共施設の工事であるため、大変重く受け止めている。あってはならないことで徹底的に原因究明を行う」と話した。