横須賀市の住宅で昨年10月、60代の両親を包丁で刺して殺害したとする殺人罪と、指定薬物を含む危険ドラッグを使用したとする薬事法違反の罪に問われた無職の次男(37)の裁判員裁判の初公判が26日、横浜地裁(鬼沢友直裁判長)であった。被告は、殺人について「覚えていないが、やったことは間違いない」などと主張。弁護側は「当時の被告は危険ドラッグの影響で責任能力を欠いていた」とし、いずれも無罪を訴えた。
検察側は冒頭陳述で、被告は同居する両親に以前から危険ドラッグの使用をやめるよう叱責(しっせき)されていたと指摘。事件当時は勤務先を解雇されて危険ドラッグを使用したところ、父親にとがめられたことに憤りを覚え、両親を刺殺。危険ドラッグの影響はあったが、責任能力に問題はなかったと述べた。
弁護側は、危険ドラッグの使用により急性薬物中毒となり、当時は両親を殺さなければ自分が殺されるという妄想に支配されていたと説明。心神喪失の状態だったとし、危険ドラッグの使用についても、「脱法ハーブだと認識していた」と無罪を求めた。
起訴状によると、被告は昨年10月15日ごろ、自宅で父親=当時(60)=と母親=同(61)=の首や胸を包丁で突き刺すなどして殺害したほか、同日ごろから同18日までの間に危険ドラッグに含まれる指定薬物2種類を摂取した、とされる。