いつか大空のかなたまで-。地上から宇宙までをつなぐ「宇宙エレベーター」の研究に取り組む神奈川大学工学部と県が24日、その実験機ともなる「スパイダー」と呼ばれる軽量昇降機の性能を競う大会を、県立川崎工科高校(川崎市中原区)で行った。昨年に続く2度目で、県内の中学、高校を中心とした30チームが完成度を争った。
上空にあるバルーンから下されたベルトを、昇降機が往復する速度や安定性、完成度などを競う。機体は市販のラジコンカーを用いたキットなどで作るが、実際の実験でも通用する機能を備えているという。
バルーンまでの長さは予選が25メートル、決勝は60メートル。強風でベルトが安定せず、途中で止まってしまうチームが続出。それでも悪条件に負けずスムーズな昇降と耐久性を実証し、研究の成果が出るチームもあった。
2年連続で出場した川崎工科高3年のチームリーダー(18)はベルトを手繰る車輪を4輪から2輪にし、軽量化して挑戦。「去年は先生から言われるままだったけど、今年は自分で一から設計した。成功すると楽しいし、失敗しても『早くここを直したい』と思えるくらい面白かった」。決勝も無事に「完走」し、充実の笑みを浮かべた。
同学部で宇宙エレベーターを研究する工学博士の教授は、「大学の研究室に質問しに来る学校もあったし、去年よりも工夫や努力の跡が見えた。今後も子どもたちにモノ作りの楽しさを伝え、工学教育の裾野を広げたい」と話した。
神大の宇宙エレベーターは現在、1200メートルまでの昇降に成功しているという。