
横浜市都筑区のマンション傾斜問題で、旭化成は22日、子会社の旭化成建材が全国で過去約10年間にくい打ち工事を行った3040件の概要を公表した。県内では192件行われ、そのうちデータを改ざんしたとみられる男性担当者が関与していたのは同マンションの1件だった。全国では9都県の41件に上ったが、市町村名や施設名などの詳細は明かされなかった。旭化成は41件を優先して不正処理が行われていないか調べる方針。
旭化成建材の堺正光取締役常務執行役員は国土交通省への報告後に開かれた会見の冒頭、「横浜のマンション居住者に深くおわびする。全国の人にも不安を与えた」と謝罪した。
3040件は2004年1月から現在までに行われた工事数。旭化成は現時点で建物が傾くといった不具合は起きていないとしている。県内の内訳はマンション・アパートなどの集合住宅53、工場・倉庫31、学校22、医療・福祉施設19、事務所17、商業施設9、公共施設9、土木3、その他17、判別不明12。
一方、男性担当者が関わった41件は特に愛知、岐阜など東海地方に集中していた。旭化成は書類データでの確認作業に着手し、問題がないかを調べる。完了時期については「精査に時間がかかる。現時点でコメントできない」(堺取締役常務執行役員)としている。
また、旭化成などは男性担当者への聞き取り調査を続けていると説明。くい打ちの不備が見つかった横浜市都筑区のマンション工事に関して、データ改ざんの動機を「(地層調査での)自分のミスを隠すためにやった」と説明しているという。同社は19日から地盤調査を実施しており、近く発足する外部調査委員会が原因究明に当たる。
一方、同市は22日、事業主の三井不動産レジデンシャルと三井住友建設に対し、くい未達の原因や建物の安全性などの報告を求める文書を送付したことを明らかにした。報告期限は11月13日。
市建築局によると、文書送付は建築基準法第12条第5項に基づく措置。虚偽や未報告をした場合に罰則がある。指示を受けた両社の担当者は電話で「分かりました」と回答したという。