1. ホーム
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 詳細明らかにされず 横浜・マンション傾斜 旭化成建材

詳細明らかにされず 横浜・マンション傾斜 旭化成建材

社会 | 神奈川新聞 | 2015年10月23日(金) 03:00

マンション傾斜問題で、新たなデータなどを公表した旭化成建材の堺取締役常務執行役員(右)=国交省
マンション傾斜問題で、新たなデータなどを公表した旭化成建材の堺取締役常務執行役員(右)=国交省

 横浜市都筑区のマンション傾斜問題を受け、旭化成建材などが22日に行った会見では、同マンションでくい打ちのデータを改ざんしたとみられる男性担当者が関与した他の物件や施設の詳細は明らかにされなかった。「データの改ざん、流用の有無を調べるのはこれから」。調査完了時期の見通しも示されず、「答えられない」「控えたい」と繰り返す同社幹部の表情は苦渋に満ちた。

 国土交通省で行われた会見は約2時間に及んだ。旭化成建材の幹部は冒頭に謝罪後、こう述べた。「個々の物件の話にはさまざまな配慮が必要で、個々の質問には答えられないことを了承してください」

 報道陣から公表も迫られたが、「件数は旭化成建材が行ったくい打ちの全て。これをスタートに、信頼を失ったデータの流用があるかないかの調査をこれから始める段階。今の段階で建物の名前を特定できるものを出すとご迷惑をかけることもある。今日は調査に入るという報告です」

 都道府県別に件数が公表された同社の過去約10年間のくい打ち件数は3040件。その安全性について問われた幹部は「健全な物件がほとんどと思っている」としながらも「現時点では健全だとは言い切れない。調査結果が出てから」とも述べた。

 県内は192件。男性担当者が関わっていたのは都筑区のマンション以外にはないとの説明だが、県は具体的なデータを得ておらず対応に苦慮。県建設業課の幹部は憤る。「できるだけ早く調査し、不安を払拭(ふっしょく)してもらいたい。建設業は安全・安心を守るべきなのに信頼を損ないかねない」

 横浜市の担当者は「公共施設の調査は引き続き行い、施工状況を確認して市民の不安解消に努める」との見解を示した。川崎市の担当者は「今後の同社の調査を見守る」と話した。市が所有する建築物92棟で旭化成建材がくい打ちを行った物件を今のところ6件把握しているが、いずれも傾きや不具合はないという。

水道管破損 1時間断水
 横浜市都筑区のマンション傾斜問題で、施工主の三井住友建設がくいの状態を確認する地盤調査中に誤って敷地内の水道管を破損させていたことが22日、分かった。断水は約1時間で、市は給水車を派遣した。

 市建築局によると、同社は19日から調査を開始。掘削中に地中の水道管を破損したとみられ、同局に22日、「21日の工事で水道管が破損している」と匿名で連絡があった。

 水は22日午前も漏れ続け、同社からの要請を受けて市水道局が給水車をマンション横へ3台派遣した。

 同社から市への報告は22日までなかったといい、市建築局は破損状況などを文書で報告するよう求めている。

「どう調査すれば」自治体波及広がる困惑
 旭化成の子会社「旭化成建材」(東京)が過去約10年間にくい打ちを請け負った建物の内訳が明らかになった22日、関係する自治体には困惑が広がった。担当者は「これからどう調査すれば…」と漏らし、問題が確認された場合の対応に頭を悩ませていた。

 横浜市のマンション建設時にくい打ちのデータを改ざんした担当者が関与した41件のうち、23件が集中した愛知県。建築指導課は「旭化成建材に問い合わせて問題物件の所在地を確認したい」と、あわただしく情報収集に追われた。

 国や同社が物件を明らかにしないことへの不満は大きい。岐阜県建築指導課の篠田圭司課長は「建物の名称など詳しい情報提供がない」と批判。三重県の担当者は「情報がないので何もしようがない」とこぼした。

 「万一問題が見つかった場合、補償はどうなるのだろうか」と気をもむのは福岡県の担当者。静岡県は、各市町に調査を要請する方針で「旭化成建材は問題の有無を早く報告して」と求めた。

 データ改ざんが発覚したマンションがある横浜市の鵜沢聡明営繕企画課長は「施工状況を確認し、市民の不安解消に努めたい」とした。

 自治体独自の調査も難航している。愛知県豊田市建築住宅課は「工事台帳はそれぞれの建物に保管してあるので、職員が一軒一軒見に行くしかなく手間がかかる」と説明した。

マンションに関するその他のニュース

社会に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

アクセスランキング