AOI国際病院(旧川崎南部病院、川崎市川崎区田町)は胸や腹を開く通常の手術とカテーテル(医療用の細い管)を使った血管内治療を同時にできるハイブリッド手術室を新たに設け、20日に関係者に公開した。大動脈の一部がこぶのように膨らむ大動脈瘤(りゅう)などの治療で症状に合わせて使い分け、患者負担の少ない最先端治療を提供していく。
ハイブリッド手術室は、高度に清潔な環境が求められる手術室でカテーテル治療もできるため、カテーテル治療を外科手術に切り替えるといった臨機応変な処置が可能となる。
手術室は63平方メートルあり、整備費は医療機器も含め約5億円。血管のエックス線造影装置は最新のドイツ製で、360度動かせる検出器(48インチ)で手術台の上の患者を撮影し、60インチの大型モニターには平面図や立体画像を分割表示できる。
医師が手元で操作しながら、太ももの付け根などからカテーテルを血管に入れ、動脈瘤の破裂を防ぐ治療を行う。佐久田斉外科統括・血管外科部長(54)は「別々に行う治療が一度にできるため、治療期間が短く、患者の身体への負担も軽減できる」と話す。
導入装置は、胸を開かずに心臓が動いている状態でカテーテルを使って人工弁を装着する最新治療法「経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)」の実施施設に認められる水準も満たしている。
同病院は昨年12月に国家戦略特区の特例を受け、20床の病床増設が認められた。同病院は「羽田空港対岸で殿町地区が近い。最先端の治療を提供し、医療ツーリズムの新たな展開も図りたい」と話している。