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【動画】「平和は勝ち取るもの」 海自観艦式で首相

社会 | 神奈川新聞 | 2015年10月19日(月) 03:00

海自艦艇42隻が参加した観艦式
海自艦艇42隻が参加した観艦式

 海上自衛隊の観艦式が18日、相模湾沖で行われた。集団的自衛権行使を含む安全保障関連法成立後初の観艦式で、安倍晋三首相は「必要な自衛の措置とは何かを考え、不断に抑止力を高める大きな責任が私たちにはある」と述べた。式典後、安倍首相は今月1日に米海軍横須賀基地(横須賀市)に配備された原子力空母ロナルド・レーガンに乗艦。現職首相が米空母に乗艦するのは初めて。

 観艦式は3年に1度開かれ、28回目。首相は護衛艦「くらま」で行った訓示で「安全保障環境は一層厳しさを増しており、脅威は容易に国境を越えてくる。平和は人から与えられるものではない、自らの手で勝ち取るもの。そのための法的基盤が先般提出した平和安全法制だ」と強調。R・レーガンについては、「東日本大震災の時、被災地に駆け付けてくれた『トモダチ』。横須賀を母港に、再び日本の守りに就いてくれる」と述べた。


観艦式に出席する安倍首相
観艦式に出席する安倍首相


 式典には、海自艦艇42隻と航空機39機に加え、米国やオーストラリア、フランス、インド、韓国各海軍の艦艇計6隻が参加。初めて航空機を参加させた米軍の新型輸送機MV22オスプレイと新型哨戒機のP8Aポセイドンが受閲航空部隊に加わって最新鋭の装備を披露するなど、日米共同を印象付けた。R・レーガンは周辺海域で日米共同訓練中だったといい、観閲式の間に姿を現した。

 式典後、安倍首相と麻生太郎副首相、中谷元防衛大臣は海自のヘリコプターでくらまを離れ、ヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」とR・レーガンに着艦し、それぞれ視察した。

 観艦式には、一般公募で集まった市民や招待者ら約1万人が参加。護衛艦の戦術運動や潜水艦の浮上訓練、哨戒機P-3Cによる実演などが公開された。

安倍晋三首相 訓示要約

 本日の観艦式に臨み、堂々たる艦隊、清々たる航空機、そして高い練度を誇る隊員職員のりりしい姿に接し、自衛隊の最高指揮官として大変心強く頼もしく思う。海に囲まれ、海に生きる、海の安全を自らの安全とする国が日本だ。我々には自由で平和な海を守る国としての責任がある。その崇高なる務めを諸君は立派に果たしてくれている。この大海原の真ん中にあって、波頭をもろともせず、正確無比なる海の防人としての勇姿を目の当たりにし、その感激もひとしおだ。荒波を恐れず、乱気流を乗り越え、泥まみれになってもなお、ただ一心に日本の平和を守り続けてきた全ての隊員職員、この困難な任務に付く道を自らの意思で進み、自衛隊員となった諸君は日本の誇りである。

 この夏、先の大戦から70回目の8月15日を迎えた。この70年間、日本はひたすらに平和国家としての道を歩んで来た。それは諸君たち自衛隊の存在なくして語ることはできない。先人たちは変転する国際情勢のもと、平和を守るために、そして平和を愛するが故に自衛隊を創設した。残念なことに、諸君の先輩たちは心ない多くの批判にさらされてきた。中には自衛隊の存在自体が憲法に違反するといった議論すらあった。しかしそうした批判に歯を食いしばり、国の存立をまっとうし、国民を守るために黙々と任務を果たしてきた諸君の先輩たち。現在の平和は、そのたゆまぬ努力の上に築かれたものである。

 相次ぐ自然災害、そこには必ず諸君たちの姿があった。先月の関東東北豪雨におけるヘリコプター部隊による懸命の救助活動、逃げ遅れた人々を救うため危険も省みず濁流へと飛び込む自衛隊員の姿は多くの国民の目に焼き付いている。豪雪、地震、火山噴火、自衛隊の災害派遣は実に4万回に達する。そして今や、自衛隊に対する国民の信頼は揺るぎないものである。その自信をもって、これからもあらゆる任務で全力で当たってほしい。

 我々にはもう一つ、忘れてはならない8月15日があります。「緊急発進せよ」。16年前の8月15日、宮崎県新田原基地に夜明け前、サイレンが鳴り響いた。国籍不明機による領空接近により2等空佐と3等空佐とは、戦闘機でスクランブル発進した。稲妻がとどろく悪天候も、上昇性能ぎりぎりの高い空も、2人はまったく恐れることはなかった。そして「目標発見」の声。領空侵犯は決して許さない、という2人の強い決意が国籍不明機を見事に追い詰め、わが国の危険を守りました。しかしその直後、突然、交信が途絶えてしまった。2人が再び基地に戻ることはありませんでした。

 「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の付託に応える」の宣誓にたがうことなく、2等空佐と3等空佐は、文字通り、命を懸けて、自衛隊員としての強い使命感と責任感を私たちに示してくれました。

 アジア太平洋地域における諸君の確固たるプレゼンスが、米国や志を共にする、民主主義国とともに、冷戦を勝利へと導き、そして日本の平和を守ってきた。そのことは歴史が証明しています。

 ただひたすら国民のため、その志を抱いて、24時間、365日、大きなリスクもいとわず、任務を全うする。諸君の崇高なる覚悟に、あらためて、心から敬意を表する。どうか諸君にはこれからも、どんな風雪にもびくともしない、松の木のごとく、いかなる厳しい任務にも耐えてもらいたい。そして常に、国民のそばにあって、安心と勇気を与える存在であってほしいと願う。

 はるかかなた、アフリカソマリア沖、海の大動脈、アデン湾はかつて、年間200件を上回る海賊襲撃事案が発生していた、危険な海でした。ここを通過する、ある船の日本人船長は、海賊への不安を口にする乗員やその家族にこう語ったそうだ。「海上自衛隊が守ってくれるから大丈夫だ」。今年ついに、海賊による襲撃事案はゼロになった。諸君の献身的な努力の結果であり、世界に誇るべき大成果だ。そして戦後はじめて、自衛隊から、多国籍部隊の司令官が誕生した。これまでの自衛隊の活動が国際的に高く評価され、信頼されている何よりの証であるだろう。先日来日した、フィリピンのアキノ大統領は、国会で演説を行い、このように語っている。かつて、戦艦伊勢が史上最大の海戦に参加するため、フィリピンの海域を航行しました。しかし、2年前の台風のとき、同じ名前、護衛艦伊勢は救援、思いやり、そして連帯を被災者に届けてくれた。これまでの自衛隊の国際協力は間違いなく、世界の平和と安全に大きく貢献している。大いに感謝されている。世界が諸君の力を頼みにしている。その大いなる誇りを胸に、諸君にはより一層の役割を担ってもらいたい。

 本日の観艦式には、オーストラリア、フランス、インド、韓国、そしてアメリカの艦艇が、参加してくれていている。すべての乗組員のみなさん、はるばるご参加いただきありがとうございます。また、アメリカの空母、ロナルド・レーガンも訓練の途中、姿を見せてくれた。東日本大震災のとき、被災地にかけつけてくれたトモダチだ。今月から、横須賀を母港に再び日本の守りについてくれる。ありがとう、ようこそ日本へ。心から歓迎する。日本は、みなさんの母国をはじめ、国際社会と手を携えながら、自由で平和な海を守るため、全力を尽くす。積極的平和主義の旗を高く掲げ、世界の平和と繁栄に、これまで以上に貢献していく決意だ。

 平和は人から与えられるものではない。自らの手で勝ち取るものだ。イギリスの元首相チャーチルは、ヨーロッパが安易な融和政策を重ねながら、最終的に第二次世界大戦へと進んでいってしまったその道のりを振り返り、次のように述べている。最初はすべてが容易であったが、のちには事態が一団と困難になって、そしてこの戦争ほど防止することが容易だった戦争はかつてなかった。こう反省している。

 二度と戦争の惨禍を繰り返してはならない。そのために私たちは常に最善を尽くさなければならない。国際情勢の変化に目をこらし、必要な自衛の措置とは何かを考え抜く。そして不断に抑止力を高め、不戦の誓いをより確かなものとしていく。私たちにはその大きな責任がある。

 日本を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増している。もはやどの国も1国のみでは対応できない時代だ。そうした時代になっても国民の命と平和な暮らしは断固として守り抜く。そのための法的基盤が先般成立した平和安全法制だ。積極的な平和外交も今後、一層強化していく。私たちの子供たち、そしてそのまた子供たちへと、戦争のない平和な日本を引き渡すため、諸君にはさらなる任務を果たしてもらいたい。私は諸君と共に、その先頭に立って、全力を尽くす覚悟だ。

 隊員の諸君、諸君の前にはこれからも荒れ狂う海が待ち構えているに違いない。しかし、諸君の後ろには、諸君を信頼し、諸君を頼りにする日本国民がいる。私と日本国民は全国25万人の自衛隊と共にある。その誇りと自信を胸に、それぞれの持ち場において自衛隊の果たすべき役割を全うしてほしい。大いに期待している。


観艦式に出席する安倍首相
観艦式に出席する安倍首相

海自艦艇42隻が参加した観艦式
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観艦式で初めて参加したオスプレイ
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