大規模地震時に木造住宅密集地域(木密)で懸念される延焼火災を防ごうと、共助の底上げを図る地域が横浜市南区で増えている。これまでに51の自治会、町内会が減災活動に取り組むと「宣言」。南消防署や南区の協力を得て初期消火の技術を学んだり、消防団員を増やしたりしている。
同区には、道路が狭く古い木造住宅が密集する地域が多く、市の新たな防火規制の対象となった重点対策地域が三春台や清水ケ丘、中村町、大岡などに計2・3平方キロ(区域の18%)広がる。大地震が起きると最悪の場合、23件の出火で約1万1800棟が焼失すると市は想定しており、燃え広がらないようにする対策が急務となっている。
このため同消防署は2013年度から、延焼危険性の高い地域を中心に減災活動を呼び掛け、宣言を行った地域に対して取り組みをアピールするプレートを区とともに交付。住民が消火栓を使って初期消火に当たれるよう可搬式のスタンドパイプ式用具の普及を図り、消火訓練や災害時の対応を学ぶ図上訓練を支援している。
3年目を迎えた本年度の宣言式は9月28日に南公会堂で行われ、20自治会が参加。これにより51自治会が宣言を行ったことになり、重点対策地域に含まれる41自治会のうち40自治会が取り組みを進めることになった。11自治会は重点地域に指定されていないが、火災対策を進める必要性があると判断し自主的に手を挙げた地域という。
宣言式に出席した大岡藤ノ木町内会の深川浩一会長(62)は「訓練は行っているが、参加者がどうしても限られてしまう。これを機に住民の意識を高めていきたい」と話していた。