県はこのほど、「第3期かながわ水源環境保全・再生実行計画」(2017~21年度)の骨子案をまとめた。12の特別対策事業を11に見直し、個人県民税の超過課税(水源環境保全税)を財源に、水源の森林づくりや丹沢大山の自然回復に加えて、頻発する集中豪雨による土壌流出への対応強化も盛り込んだ。12日に厚木市内で開催する県民フォーラムで説明、来場者らと意見交換を行う。
この取り組みは「既存水源の維持と質の向上」などを目的に施策大綱により事業期間を20年間に設定、5年ごとに実行計画を更新しながら進めている。
骨子案では、大綱の前半部となる第1期と第2期の実行計画で実施された12の特別対策事業の成果と課題を紹介。水源涵養(かんよう)機能を取り戻すために集中的に行ってきた私有林の荒廃対策などを「おおむね順調に進捗(しんちょく)」と評価した。
一方で、当初予見されていなかった、県西地域の脆弱(ぜいじゃく)な地層崩壊による森林被害や、箱根山地や小仏山地へのシカの食害域拡大など新たな課題が判明したとして特別対策事業を11に再編する。
新たに加わった土壌保全対策は、10年の台風9号の大雨により県西地域で富士山の火山噴出物(スコリア)が堆積した地層が各所で崩壊したことを教訓にした。今後も想定される集中豪雨に備えて土壌流出の防止に土木的工法も取り入れる。渓畔林整備事業は水源の森林事業に統合する。
また、環境悪化の象徴だったブナ林衰退のメカニズムがほぼ解明され、「試験研究」から「再生」に進展させる。県内ダム集水域で進めてきた公共下水道整備は進捗率が低く、浄化槽設置など弾力的な生活排水対策を検討するとしている。
県は9日から骨子案に対する意見募集を開始。寄せられた意見などを反映して年内には実行計画の素案を作成する予定。県民フォーラムは12日午後1時半から厚木商工会議所(厚木市栄町)で開かれる。当日受け付けで入場無料。