2度目の挑戦となった「憲法9条にノーベル平和賞を」運動は、今年も受賞には至らなかった。9日に相模原市内で開かれた会見で、実行委員会(同市南区)は「安保関連法が成立しても、憲法は変わっていない」と、引き続き活動を続けていく意思を表明。「『戦争をしない』を世界の常識に」という活動の原点をあらためて訴えた。
ノーベル平和賞が発表される午後6時(日本時間)ごろ、報道陣が詰めかけた会見会場で実行委メンバーらが中継画面をかたずをのんで見守った。
受賞者がチュニジアの団体だと伝えられると、運動の発案者の鷹巣直美さん(38)は笑みを浮かべて小さく拍手をした。
共同代表の石垣義昭さん(74)も「マララさんの受賞に続いて、今年も民主化団体が受賞。ノーベル賞が原点に近づいてうれしく思う」と話した。
戦後70年を迎えた今年のノーベル平和賞には、護憲団体「九条の会」や日本原水爆被害者団体協議会(被団協)も候補に挙げられた。石垣さんは「平和づくりの基本の軸となる憲法、人類の未来に関わる核兵器の廃絶に光があてられた」と振り返った。
実行委の活動は今年で2年目。9日までに集まった署名は69万3951筆を数えた。折しも安保関連法案が国会で審議されていた時期でもあり、法案廃案を求める署名も行った。実行委だけでなく法案に反対する団体が全国各地で生まれ、大規模なデモも行われた。石垣さんは「今年は日本の国が大きく生まれ変わった年。これをどうみんなで育てていくかだ」と話した。
会見の最後、鷹巣さんは「私たち(憲法9条を保持している日本国民)がノーベル平和賞候補ということは事実。それだけでも自分ごととしてとらえて、一歩足を進めてもらえれば」と呼び掛けた。