横浜市港南区の市立上永谷中学校(生徒数542人)で5日、元小学校教諭の福永宅司さん(56)が「いじめ」を題材にした一人芝居を熱演した。全校生徒がじっくり聞き入り、いじめについて考えた。
福永さんは「君をいじめから守る」と題した、体験談を聞き取りして作った芝居を披露。加害少年も恵まれない家庭環境で育つなど、いじめる側、いじめられる側の双方に目配りしながら、中学校で起きているいじめや、その背景を身ぶりを交えながら演じた。
いじめを目撃した年配者が「人に変われと言う前に自分が変われ」といじめ側を諭すことで解決に向かっていく。全国での生徒会や先生たちの取り組みで、いじめがなくなった実例も紹介した福永さんは、「人の幸せを考えることができる人に、幸せは返ってくる」と訴えた。
迫真の演技に会場は魅入られたように静まり返った。3年の男子生徒(15)は「話がリアルで少しつらかったが、『自分を含めた一人一人が変わることで全体も変わる』という言葉に希望が持てた」と話していた。
福永さんは22年間小学校教諭を務め、現在は人権や教育問題をテーマに全国各地で演じている。この日は同校の創立50周年を記念して招かれた。