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教育の「量」から「質」重視へ 県立高改革素案

社会 | 神奈川新聞 | 2015年10月1日(木) 03:00

県立高校改革の全体計画素案が報告された県議会文教常任委員会
県立高校改革の全体計画素案が報告された県議会文教常任委員会

 県教育委員会が30日に公表した県立高校改革の実施計画素案は、20~30校を削減する再編・統合に加え、教育の質向上に向けた新たな取り組みを打ち出した。難関大への進学実績などで10校に絞り込む重点進学校の指定、グローバル人材の育成に特化した国際バカロレア認定推進校の指定-。約40年前に「量」の充実を目指した百校計画、「多様化」を掲げて新タイプの学校を増やした前回改革を踏まえ、国際社会のリーダー育成など「質」の重視に向けた12年間がスタートする。

進学重点校を厳選


 めざす生徒像を見据えて特色検査を実施▼県教委が実施する生徒学力調査の結果▼7割以上が在学中に英検2級程度以上▼探求活動や全国規模の大会での成果▼いわゆる難関大学への高い合格率の実績-。

 県教委は、現在の18校から10校程度に“厳選”する学力向上進学重点校の指定に向け、初めて5項目の「指標」を明示。「リーダーとして活躍できる高い資質・能力をもった人材の育成」を掲げ、「教育活動、進学実績、学校運営を総合的に選考して指定(3年ごとに改めて指定)」する方針を明らかにした。

 また、「科学技術・理数教育」「グローバル化に対応した先進的な教育」「専門教育」の推進をうたい、国際的な大学入学資格を取得できる国際バカロレア認定推進校を1校指定する方向性も表明。公教育の県立高が、高学歴、グローバル社会に対応できる人材育成を目指す姿勢を鮮明にしている。

学びの機会の拡大


 高い学力と豊かな知恵を身に付けて進路希望の実現を目指す一方、力を発揮しきれなかった生徒の“学び直し”を掲げる「クリエイティブスクール」(現在3校)も2校増設し、5地域に各1校の配置とする。また、「障害のある生徒にも高校教育の機会を」とうたうインクルーシブ教育実践推進校は、最初の4年間に3校程度をパイロット校に指定。現在の中学2年生が進学する2017年度から知的障害者の受け入れを始め、最終的に20校程度の指定を目指す。

 生徒の学習ニーズに対応するため「県立高校が大学や職業技術校、企業などと連携して学びの機会を広げる仕組み」として、県立高校生学習活動コンソーシアムを形成。高校同士や地域とも連携し、学校間での単位互換システムも視野に入れている。

前回改革の見直し


 課程・学科の改編は、主に全日制が対象で、前回の「県立高校改革推進計画」で設置された総合学科、単位制普通科など“新しいタイプ”の学びの形をあらためて見直す。

 “普通科の中に特別クラスがある”点を改め、現在12校にある普通科専門コース(英語、自然科学など)はすべて解消。単位制普通科は、従来型に加え、新たに年次進行型での運用も始める。

 幅広い時間帯から科目を選択する「フレキシブルスクール」3校は、全日制と定時制など複数課程を持つ単位制普通科と再定義し、2校に減らす。キャリア教育の実践を目指し、現在11校ある「総合学科」高校はこのうち約6校を他学科に改編、地域バランスに配慮した配置に取り組む。

 一方、「専門学科」高校は学科の改編や新設に取り組み、5校ほどで学科新設を見込む。農業や工業、水産など「産業教育系」は他学科と、理数、国際関係など「個性教育系」は普通科と、それぞれ同じ高校内に複数の学科を設ける「併置」を進める。

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