
安全保障関連法案の国会審議が佳境を迎える中、安全保障、中東政治、政治学の専門家が法案の欠陥を論じ合った。浮かび上がったのは自衛隊の危機であり、時代錯誤の安全保障であり、この国の全体主義化だった。民間シンクタンク「新外交イニシアティブ」が8日に都内で主催したシンポジウムの発言を紹介する。
ねじれ国会で歯止め 元内閣官房副長官補・柳沢協二さん
参院審議で、自衛隊の部隊運用計画を記載した防衛省統合幕僚監部作の内部資料が明らかになったが、ポイントは二つある。
一つ目は資料にある「アセット防護」。平時でも重要影響事態下でも米艦を防護できるよう「自衛隊法95条の2」という条項を新設している。公海上で米艦が急襲された際、自衛官が武器を使用して米艦を防護できるという条文。総理大臣の命令も国会承認も必要なく、現場の判断任せだ。
そもそも自衛隊法95条は、国内治安情勢が不安定な戦後すぐに暴動が起きて自衛隊駐屯地が襲われ武器が奪われるような場合に備えた規定だ。それを公海上の、それも米艦防護に使うという。当然相手は国内の暴徒ではない。