
活発な火山活動に伴い、噴火警戒レベルが3(入山規制)となっていた箱根山(箱根町)について、気象庁は11日、山体の膨張を示す地殻変動などが収まったと判断し、警戒レベルを2(火口周辺規制)に引き下げた。レベル2は約2カ月半ぶり。これを受け、町などは箱根火山防災協議会コアグループ会議を12日に開き、規制範囲の縮小を決定する。
気象庁や国土地理院によると、箱根山の地下にたまっているマグマの活発化を示す山体膨張は8月ごろから鈍化。衛星利用測位システム(GPS)の観測データを慎重に解析し、同下旬に膨張が止まったと今月10日に判断した。
先行して減少していた火山性地震の回数は、大涌谷でごく小規模な噴火があった6月29日や30日は県温泉地学研究所の観測でそれぞれ700回を超えていたが、今月に入ってからは1日に1~6回になっていた。マグマや地下の熱水の移動を示すとされる火山性微動も、6月29日以降は観測されていない。
一方で、大涌谷斜面の火口や噴気孔、温泉供給施設の蒸気井では、活発な噴気が続いている。地震の回数も「火山活動が活発化した4月下旬以前の状態には戻っていない」(気象庁火山課)ため、大涌谷の火口周辺(半径440~530メートルの範囲)では引き続き小規模な噴火が起こる可能性があるとみて、小さな噴石や火山ガスへの警戒を呼び掛けている。
大涌谷周辺では4月26日から火山性地震が増加。その後、噴気が活発になったことから、気象庁は5月6日に噴火警戒レベルを初めて2に引き上げ、ごく小規模な噴火を受けて6月30日には3に上げていた。今回の警戒レベルの引き下げを受け、町や県は規制の縮小に向けて道路の安全確認を進めるとともに、土砂災害の危険性の有無や火山ガスの濃度などを調査する方針。