

東京都世田谷区の繁華街を抜けると、空き地が目立つ区域が広がる。古びた5階建てのマンションには「我々は、あのサリン事件を忘れないぞ!」「名前を変えてもオウムはオウム」「親を泣かせるな!脱会して家に帰ろう」と書かれた横断幕が掲げられている。
オウム真理教でかつて幹部を務めた上祐史浩氏が代表の団体「ひかりの輪」の本部が、このマンションの2階にある。近づくと、二つの小屋から小走りで出てきた制服警官と私服警官に「どこ行くの」と声を掛けられた。住民が建てた監視小屋もあり、ただのマンションではないとすぐに分かる。
ひかりの輪専用入り口からマンションに入った。本部の室内は畳敷きで家具はほとんどなく、ホワイトボードやテレビが置かれ、壁には仏画が掛かっている。
「ここが教室兼、私の住居です」。そう話しながら、現れた上祐氏はこちらの質問にも終始笑顔だった。