学校給食費の未納問題で、厚木市は悪質な滞納者に対して差し押さえなどの法的措置を行うことを決めた。学校現場の負担軽減などのため2013年度に公会計制度に移行したが、納付率の悪化に歯止めがかからず、対応を強化する。
市教育委員会によると、法的措置を予定しているのは、滞納者の中でもこれまで督促に一切応じていない保護者。44世帯52人分(8月末現在)で未納総額は約153万円に上る。この中には児童・生徒3人分で約23万円が未納の世帯もあるという。
対象世帯には予告書が既に8月中旬に送付されており、返答がなければ9月下旬に厚木簡易裁判所に支払い督促を申し立てる。今後、裁判所の判断により納付金に充てる預金の差し押さえなどの強制執行も可能になる。
市は小中学校で完全給食を実施。公会計移行後の未納率は13年度が579人(1・19%)約828万円、14年度が587人(1・49%)約1022万円で推移。督促状の送付、コールセンターによる電話催告、戸別訪問、児童手当からの天引きなどの対策を講じてきたが、今年7月現在で累積総額約1225万円が未納になっている。
給食費の納付に関しては、横浜、海老名、藤沢の3市でも学校ごとの集金方式から口座振替などの公会計に移行している。ただ、各市教委は懸念された納付率の悪化に直面。横浜市は14年度、2世帯に対して最終手段になる法的措置に踏み切ったという。
厚木市より一足早く12年度に公会計化した海老名市は、累積の未納総額が1500万円を突破しており、内野優市長は「来年度に児童手当からの天引きを行い、改善が見られないようならば法的措置も検討したい」との考えを示した。
厚木市教委学校給食センターは「法的措置は問題解決の糸口をつくるのが目的。督促に対して着信拒否や居留守を使うなど全く会おうとしない保護者を対象にする。財政的事情があるならば相談してほしい」と話している。