1. ホーム
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 温地研の現場から(22)富士見立てた盛り塚

温地研の現場から(22)富士見立てた盛り塚

社会 | 神奈川新聞 | 2015年8月28日(金) 16:56

金目川の砂で作った砂盛り。この前でお盆の迎え火・送り火や線香をたく(平塚市の野島愛子さん提供)
金目川の砂で作った砂盛り。この前でお盆の迎え火・送り火や線香をたく(平塚市の野島愛子さん提供)

 過去の災害を記録するのは石碑だけではない。県内では、お盆になるとご先祖をお迎えするために玄関先に砂を盛った砂盛りを作る風習があるが、開成・大井・伊勢原・秦野・平塚地域などでは、その材料として黒い砂を使うらしい。

 この砂は宝永年間の富士山噴火で降った黒い灰の砂で、塚を富士山に見立てて盛り上げるのだそうだ。こうした塚のことをオショロヅカ、スナモリ、ボンヅカ、ツジなどと呼ぶが、ずばりフジサンと呼ぶ地域もある。

 宝永の噴火により、県西部から県央にかけての地域は降灰によって甚大な被害を受け、自力での食糧供給は不可能となった。灰に埋まった田畑を復旧し、元の生活を取り戻すまでに多くの苦労があったことが容易に想像できる。そうした中で亡くなった人を弔う気持ちを込めて、黒い砂を台座に用いたのだろう。

 宝永の噴火から300年以上が経過し、直接その恐ろしさを知る人はいない。しかし、今年6月に小規模ではあるが水蒸気噴火した箱根のように、今後富士山が活動を再開しないという保証はない。この夏、あらためてご先祖の苦労をしのび、将来あるかもしれない火山災害への備えを考えてみてはいかがだろうか。

(温泉地学研究所主任研究員・本多 亮)

こちらもおすすめ

温地研の現場からに関するその他のニュース

社会に関するその他のニュース

PR
PR
PR

[[ item.field_textarea_subtitle ]][[item.title]]

ニュースに関するランキング

    アクセスランキング