アルジェリアで2013年1月、プラント建設大手「日揮」(横浜市西区)社員ら日本人10人などがイスラム武装勢力に殺害された人質事件で、県警外事課と戸部署は26日、人質強要処罰法違反(人質殺害)の疑いで、イスラム武装組織「覆面旅団」の指導者でアルジェリア国籍の男性(43)の逮捕状を取得した。同法の人質殺害容疑での逮捕状取得は国内初。
これまでの捜査で、同社最高顧問の男性=当時(66)=と同社社員の男性=同(60)、同社関連会社社員の男性=同(72)=の日本人3人が亡くなった経緯も明らかになった。
県警が車内の生存者から聴取した内容などによると、車には亡くなった日本人3人のほか数人の人質が乗っていた。運転していた男は、アラビア語で「神は偉大なり」と叫んだ直後に自爆した。施設を包囲したアルジェリア軍が突入する直前だったという。
3人の死因は最高顧問の男性が血液吸引による窒息、同社社員の男性は爆死、同社関連会社社員の男性は外傷性脳障害だった。
逮捕容疑は、同容疑者は13年1月16日午前5時40分ごろから17日午後2時ごろにかけ、共謀して亡くなった3人を天然ガス施設内に監禁して人質にした上、17日午後2時ごろから同5時ごろまでの間に乗用車に乗せ、爆発物を爆発させて殺害した、としている。
県警は6月に、人質強要処罰法違反(加重人質強要)などの容疑で、7月には派遣作業員の男性(44)を組織的に殺害した容疑で同容疑者の逮捕状を取得。国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配した。今後、3人を殺害した容疑を追加して国際手配し、残る6人の日本人犠牲者の捜査も継続する。