
参院に舞台を移した安全保障関連法案の審議について、日弁連憲法問題対策本部のメンバーである倉持麟太郎弁護士(32)は「相変わらず不誠実な答弁が繰り返され、矛盾と破綻だらけ」と指摘する。同じ答弁の焼き直し、解釈の破綻、法的な歯止めがないにもかかわらず「大丈夫」と言い切る無責任な断定-。国会審議ウオッチを続ける倉持弁護士は「噴飯答弁」を5類型に分類し、その不誠実さ、不合理性を明らかにする。
倉持さんは、参院審議での答弁を「大丈夫型」「解釈破綻型」「繰り返し型」「現場との乖離(かいり)型」「無責任発言型」-の5類型に分けて解析を試みた=別表参照。
「大丈夫型」は例えばこうだ。
質問者「(米陸軍のリポートには)補給任務での死傷者数は深刻で死傷者の10・12%とある。水の補給は命懸けと書いてある。なぜこういう危険があると明白に言わないのか」
安倍晋三首相「わが国には憲法9条の制約や法律上の規定を受けて、自衛隊の部隊等が現実に活動を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を実施区域に指定して後方支援を行う。比較することはできない」
(7月29日、平和安全法制特別委員会)
倉持さんは「自衛隊員に及ぶリスクは政府が責任をもって判断するから問題がないという『大丈夫型』の典型例。こうした答弁は数多く、穴だらけの法案が無責任な内容であることがよく分かる」と指摘する。
同じ日の特別委では以下のようなものもあった。
質問者「自衛隊の国外での武器の不当使用について罰則規定がないが、なぜか」
中谷元・防衛相「自衛隊は武器使用に関して厳正な注意義務の規定、徹底した訓練を行っており、自衛官が海外で違法な武器使用を行うということは一般的には想定されていない」
倉持さんは「不正使用がなされた場合にどう対応するのかということ、不正使用がないよう努めるということを同次元の問題として答弁している。全く答弁になっていない」