個性的な船舶の絵画で知られ、17日に84歳で亡くなったイラストレーター、画家の柳原良平さんが自身の作品で気に入っていたのが「ワニ公」のキャラクターだった。海運大手の商船三井がデザインを依頼し、1967年にコンテナのロゴに採用された「アリゲータ・マーク」。現在はロゴが変更され、その姿はミナトから消えつつある。ワニ公を「傑作のひとつ」と評していた柳原さんは最後まで復活を信じていた。
ワニ公はオレンジ色の救命浮輪に腰を下ろし、銀色のコンテナを担いでいる。つぶらな目とわずかに開いた口に愛嬌(あいきょう)が漂う。
商船三井グループは2007年に深い青色を使った新しいロゴを制定し、古くなったコンテナが更新されるたびにワニ公は姿を消しつつある。横浜・関内で個展が開かれていた今年5月、柳原さんは「時代の流れだから仕方がないね」とため息を漏らしつつ、左腕に入ったイカリの入れ墨を「やっぱりしゃれているでしょう」と語るなど、名残惜しさをにじませていた。
柳原さんは商船三井の社内報「うなばら」の1978年10月号に「世界をまわれアリゲータ」の題で寄稿していて、旅行用かばんにワニ公のステッカーを貼っていると明かした上で「私自身もあのアリゲータ・マークは大変気に入っており、傑作のひとつだと思っています」と記していた。
ロゴの変更について「ワニ公はいろんな色のペンキを使うから嫌われたのでしょう」とこぼした柳原さん。
商船三井が大阪商船三井船舶の社名だった当初は非常にかわいがられ、特に米国で人気があったことを振り返り、「やっぱりワニ公がいいとなって、再び使ってもらえるときが来るのではないか。しばらくご無沙汰しますが、またお目にかかりましょう」と話していた。
商船三井はワニ公の復活については「何とも言えない」と話している。