広島、長崎で被爆し、米大陸に移り住んだ人々の被爆体験の継承をテーマにしたパネルディスカッション「岐路の記憶を紡ぐ」が8日、横浜市中区の国際協力機構(JICA)横浜海外移住資料館で開かれた。約60人が参加し、家族や専門家などが多面的に関わりながら、次世代に引き継ぐ大切さを訴えた。
企画展「海を超えたヒロシマ・ナガサキ」の関連イベント。同展を手掛けたアーティストで映像作家の竹田信平さんは、長崎で11歳の時に被爆し、結婚や就職で差別を受けた後、米国人男性と結婚した女性と2006年に出会い、米大陸に住む被爆者の体験を集めるようになったと説明。「感性を磨き、われわれの記憶として獲得する姿勢を大事にしてきた」とし、人々と共有するための自身の芸術活動を紹介した。
80件を超える口述記録の経験を持つミシガン州立大学の和氣直子教授は、「米国の被爆者は、特に1950~70年には家族にも(被爆体験を)話すことがほとんどなかった」と説明した。
このほか、在米被爆者を訪ねる竹田さん監督のドキュメンタリー映画「ヒロシマ・ナガサキダウンロード」の上映会も行われた。
企画展は、被爆者の証言を映像や写真を交えて紹介している。9月27日まで。入場無料。問い合わせは、同館電話045(663)3257。