
盛夏。治安や風紀の改善・維持を目指し、湘南の各海水浴場が今夏も模索を続けている。鎌倉では初めて、砂浜での飲酒を市条例で禁止した。しかし、広いビーチで禁酒を徹底するのは至難の業。注意する警備員と、飲みたい来場者とのいたちごっこの様相だ。禁酒2年目を迎えた逗子では、規制のあり方に新たな課題も見え始めた。
◇◆◇
「鎌倉市の海水浴場では砂浜での飲酒は禁止されています」-。
炎天下のJR鎌倉駅東口や由比ガ浜海水浴場入り口に立つ、真っ黒に日焼けした民間委託警備員。メガホンを取り、砂浜での飲酒や音響機器の使用、入れ墨の露出といった条例の禁止事項を呼び掛ける。
◇
だがその声は、必ずしも来場者全員には届かない。
条例を伝える大きなポスターが貼られた沿道のスーパーやコンビニからは、買ったばかりのビールの栓を抜きながら、水着姿の若者らが次々と海水浴場を目指していた。友人と訪れた横浜市の女性会社員(24)は、缶酎ハイを片手に「お酒が駄目なのは知ってます。でも誰かに迷惑を掛けるわけじゃないし」。
由比ガ浜、材木座、腰越の3海水浴場では、飲酒に対して出された注意は7月の1カ月間で