
安全保障関連法案をめぐり神奈川県内の被爆者が3日夕、横浜市中区の関内駅前で街頭活動を行い、法案への反対を訴えた。「何の責任もない子どもたちを、再び戦争で死なせたくない」。悲惨な記憶を語り継ぐ者として、仕事帰りのサラリーマンや主婦らに呼び掛けた。
参加したのは広島、長崎で被爆した5人。神奈川県原爆被災者の会の中村雄子会長(83)=平塚市=は、広島の女学校2年の時、爆心地から約2・8キロ離れた工場で被爆した。「ものすごい光と爆風だった」。体中にガラスの破片が突き刺さり、左腕には今も傷痕が残る。
市心部で建物疎開の手伝いをしていた1学年下の後輩たちは、その日のうちにほとんどが命を落とした。「あんなむごいことを繰り返してはいけない。大人にはこれからを考えて行動する責任がある」と声を張り上げた。政府が説明する法案の必要性については理解ができないといい、「外交によって戦争をさせないようにすべきだ」と話した。
中学3年の時に広島で被爆した佐藤良生さん(84)=横浜市栄区=も、「政府は法案について十分に説明しない。戦争の経験を語り継いでいきたい」と訴えた。
街頭活動は弁護士でつくる自由法曹団神奈川支部などが企画。6月から平日の夕方、関内駅前で法案の違憲性を伝えるビラ配布や署名集めを行ってきた。署名した男性会社員(33)は「法案には不安を感じる。力になれればと思った」と話していた。