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児童養護施設退所者を支援 孤立防げ、藤沢に拠点

社会 | 神奈川新聞 | 2015年7月19日(日) 03:00

あすなろサポートステーションでスタッフの男性(左)、前川さん(中央)と話す男性=藤沢市
あすなろサポートステーションでスタッフの男性(左)、前川さん(中央)と話す男性=藤沢市

 児童養護施設などを退所した青年を支援する「あすなろサポートステーション」(あすなろSS、藤沢市)が開所から1年を迎えた。施設入所中から子どもたちとつながりを持ち、退所後は寄り添って仕事や生活の支援・相談を行う。一歩踏み込んだ活動で退所者を支える一方、運営面では課題も抱えている。

 あすなろSSが支援するのは、おおむね15歳から23歳までの施設退所者。2014年7月1日にスタートした県からの委託事業で、原則、横浜、川崎、相模原の3政令市と横須賀を除いた地域の人が対象だ。

 施設退所者のうち、高校卒業後に就職する人は7割近くに及ぶ。頼れる家族がないなどの理由から、18歳で1人暮らしや住み込みで働き始めるケースも多い。悩みを相談できる相手がなく、結果的に退職したり、生活が行き詰まったりする人も少なくない。そんな若者のよりどころになり、仕事や生活面を支えることがあすなろSSの目的だ。

 施設を出た若者に小まめに声を掛け、時には職場の上司と話し合いをしたり、働く場所を紹介したりする。施設で暮らす中高生とも関わりを持ち、切れ目のない支援を目指す。代表で、運営する社会福祉法人白十字会林間学校の前川礼彦さんは「18歳を超えた退所者を支える制度がなく、法からこぼれる子を何とかしなくてはいけない。支援があるかどうかで将来が大きく違っていく」と話す。


 支援により、生活が大きく変わった若者もいる。

 6歳から児童養護施設で育った20代の男性は、高校卒業と同時に寮のある県外の飲食店に就職。だが、人間関係でつまずいて退職した。その後も数年間、仕事に就いては辞めることを繰り返したが、頼れる人はなく、仕事を失うと住むところもない。ホームレスも経験した。

 この春、行き詰まって退所した施設に連絡し、あすなろSSにつながった。今は、紹介された高齢者施設で実習しながら介護職を目指す。週に1回は顔を出し、仕事や生活についてスタッフと話すことも助けになっている。「施設を出たら、仕事で失敗しても頼れるところがない。助けてくれるところが増えるのは退所者のためにもいいと思う。自分も、これを境に踏ん張ってやっていきたい」と決意を語る。

 課題は資金と人手だ。年間予算は790万円。現在も約20件の困難な支援対象者がいるが、担当者は非常勤職員を含めて3人だけ。常勤職員の男性スタッフは「年々利用者は増えていくだろう。行き詰まってから来る人も多く、(生活を立て直せるまで)時間がかかる。支援を広げることをやめることはできない」と話す。

 支援の質を保つため、今後は運営資金の寄付を募ることも検討していくという。前川さんは「社会生活に失敗したら一般的には家庭がやり直しを保障する。それができない環境に生まれたことは退所者の責任ではない。自立は施設を出て、社会に出てからこそが大事」と力を込める。

 あすなろサポートステーションは、電話0466(54)8917。

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