
国際的な人道支援や人権救済に取り組むNGO(非政府組織)が安全保障関連法案に「ノー」の声を上げた。法案は「戦争をする国」になるためのものと批判。「NGO非戦ネット」というネットワークを立ち上げて「非戦」の声を束ねてゆく。紛争や貧困の現場で憲法9条の価値を知るからこその行動だ。
復興支援の美名通じず
日本イラク医療支援ネットワーク事務局長・佐藤真紀さん
イラク戦争の前からイラクの支援に取り組んできた。イラク戦争は残念ながら止められなかった。その悔しさがある。イラクには大量破壊兵器もなくテロとも関係なかったから、悔しさはなおさらだった。
イラク戦争から10年がたち、報道機関が検証していたが、当時の福田康夫官房長官はイラク戦争を「間違っていなかった」と発言し、その理由については「日米関係が深化したから」と述べていた。
どういうことか。イラクのことなどまったく考えていない、ということだ。僕らが10年以上医療支援してきた子どもたちは治安が安定していないため、病院に行くことすらできない。
そしていま、過激派組織「イスラム国」の問題が出ている。突然発生したかのように思われているかもしれないがそんなことはない。イラク戦争でフセイン政権は倒され、以後、スンニ派はテロリストと決め付け差別政策が取られてきた。このこととイスラム国が生まれたことは無関係ではない。この間に僕らがやらなければならなかったことがあるはずだが、それは反省しなければならない。
2003年に自衛隊がサマワに派遣された。このときは復興支援という美しい名前だった。だが安保法案が成立すれば、そうはいかない。戦闘の後方支援を担うことになる。その先はどうなるのか。現地で支援を続けながら考えていかなければならない。