
原爆の悲惨さを描いた漫画「はだしのゲン」の絵本原画展が、横浜市栄区の県立地球市民かながわプラザ(あーすぷらざ)2階展示コーナーで開かれている。戦後70年の節目の年、原爆の悲惨さと平和の大切さをあらためて考えようと企画した。8月19日まで。入場無料。
はだしのゲンは6歳のころに広島で被爆した故中沢啓治さんが実体験を基に描いた。2年前、「過激な描写がある」といった理由で松江市教育委員会が市立小中学校に閲覧制限を求め、描写内容をめぐる論争が起きたことも記憶に新しい。原画展担当の初田貴美子さんは「『恐ろしいことは伝えないといけない』という作者の遺志を引き継がなければならない」と企画の狙いを話す。
会場では、1980年に出版された絵本のカラー原画と漫画の原画(いずれも複製、広島平和記念資料館所蔵)を17点のパネルで紹介。妊娠中に栄養不足で病気になるゲンの母や原爆投下で血だらけになりながらわが子を抱える人、川に浮かぶ数え切れない遺体など、70年前にこの国で起きた戦争のむごたらしさが生々しく描かれている。
初田さんは「過去の歴史を学ばないと未来は描けない。なぜ原爆が投下されたのか、その背景を知る機会にもなる」と、子どもを含む多くの人に同作に触れてほしいと考えている。
午前9時~午後5時。祝日を除く月曜休館。29~31日には、アニメ「はだしのゲン」「はだしのゲン2」「クロがいた夏」をそれぞれ5階映像ホールで上映する。いずれも午後2時から。参加無料。当日先着120人。問い合わせは、あーすぷらざ電話045(896)2121。