ストーカー事案の加害者を治療することで被害者を減らそうと、県警は26日、大石クリニック(横浜市中区弥生町)の精神科医・大石雅之院長を精神医学的な治療に関わる指定医に委嘱した。加害者の更生推進に向けた初の取り組みで期間は1年間。県警生活安全部の小清水芳則部長は「加害者治療の施策を推し進め、ストーカー被害の防止に努めたい」と話している。
同部によると、県警で扱うストーカー事案の中には文書で警告するなどしても行為が止まらないケースがある。今後は加害者本人の同意を得た上で大石医師を紹介。精神医学的な治療を受けることで再発を防ぎ、被害の未然防止を目指す。治療費は受診者本人の負担。今後は指定医の人数を増やしていく予定だ。
同クリニックは依存症治療の専門病院。大石院長は「ストーカー加害者の治療は社会的認知度が非常に低く、加害者本人が『自分はおかしいのでは』と気付いてもどこに相談に行けば良いか分からず、ストーカー行為を繰り返してしまう」と指摘。「加害者が減れば被害者も減る。被害者への対応はもちろんだが、加害者への対応も大事。加害者に治療法があることを知ってほしい」と話している。