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避難勧告、自治体で差 三浦は実施・横須賀見送り

社会 | 神奈川新聞 | 2015年7月7日(火) 03:00

崖崩れのため通行止めとなった道路=4日午前5時55分ごろ、三浦市初声町和田
崖崩れのため通行止めとなった道路=4日午前5時55分ごろ、三浦市初声町和田

 大雨による土砂災害の危険性が高まったとして3日夜、三浦市の三崎地区7661世帯に避難勧告が出された。2013年10月の伊豆大島の土石流災害の教訓を踏まえ国が昨年4月に示した新指針を受け、「空振りを恐れない早めの勧告」を市内で初めて実行した格好だ。一方、隣の横須賀市は土砂災害につながる前兆現象の通報がなかったため勧告を見送り、自治体の考え方で対応が分かれた。


◆電話鳴りやまず
 土砂災害警戒情報が出された25分後、三浦市は3日午後10時45分に避難勧告を発令した。土壌に染み込んだ雨の量が特に多い三崎地区に絞ったが、それでも対象は1万8816人で市人口の3分1以上に及んだ。

 その直後。「避難すべきかどうか」「実家が三崎だが大丈夫か」。市役所の電話は約1時間、鳴りっぱなしとなった。

 多くは家にとどまるべきかどうかの判断を問い合わせるもので、市は近くに崖地がない場合は避難の必要がないことを個別に伝えたという。

 崖崩れは2件発生、自主避難も含め避難したのは計7人だった。市防災課は「三崎地区内に崖地が点在しており、これ以上ピンポイントで勧告を出すのは難しい」と初めての実践を振り返った。


◆前兆現象を重視
 国の新指針は、都道府県と気象台が土砂災害警戒情報を発表した場合、市町村が直ちに勧告を出すことが基本だ。今回、県内では土砂災害警戒情報が3日夜から4日にかけて横須賀、三浦の2市に出されたが、その対応は分かれた。

 横須賀市危機管理課は「国の指針が正しいとは思っていない」と言い切る。避難勧告を広範囲で出すことは、多くの「空振り」地域を前提にすることになるからだ。

 横須賀では「小石が崩落し始めている」といった前兆現象の通報を避難勧告のきっかけとし、切迫していなければ市職員が現地で確認した上で判断する。今回は住民などからの通報がなく、発令には至らなかった。同課は「後手を踏む可能性は否定できないが、責任逃れのための避難勧告はしたくない。本当に逃げてほしいケースで逃げてもらえなければ本末転倒だから」と説明する。


◆住民も事前準備を
 対応は異なるものの、両市とも平時から住民が近隣の崖地など土砂災害につながる危険性を事前に知っておく必要性を強調する。

 対策として三浦市は7月からA4判両面印刷の「わが家の避難カード」を全世帯に配布し始めた。災害の種類や発表される気象警報別に各家庭の避難場所を書き込むもので、例えば土砂災害では「自宅2階の安全な場所」、津波では「近所の家の裏の高台」と、市が開設する避難所にとらわれず具体策を事前に話し合うことを促している。

 市は「行政としてよりきめ細かな情報提供をするなど改善を重ねるが、住民も自ら考える意識が広がれば」と自助に期待する。

 
 

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