東海道新幹線での放火事件を受け、国土交通省は1日、新幹線を運行するJR5社の幹部を集め、緊急に対策を協議した。国交省は「模倣的な事件も懸念される」と危機感を強めるが、現状では事業者側に巡回頻度を高めるなど、警備の徹底を促す以外に有効策を見いだせていないのが実情だ。
太田昭宏国交相は「車両の安全確保や警備強化、危険物の持ち込み規制など、火災やテロを視野に対策を詰める必要がある」と指摘した。国交省はJR各社に警察と連携した警備の徹底を要請。可燃性液体でも一部を除き、容器を含め重量3キロ以内なら例外的に持ち込みを認めているJR規則の見直しも提起した。
JRの規則では危険品を収納している疑いがある場合、利用客立ち会いで「中身を点検することがある」としているが、会議でJR側からは「警察ではないので、不審な荷物でも中身を見せてほしいとは言いにくい」との意見が出たという。
JR東海の金子慎副社長は会議後、「利用客から死傷者が出て、大変残念」と述べ、「規則も必要があれば変えたいが、不審物を隠して車内に入ることをどう防ぐかが課題だ」との考えを示した。
国交省幹部は「車両火災対策は延焼までの時間を稼ぎ、その間に逃げるのが基本」と説明。手荷物検査も「現実には難しい」とし、手詰まり感も漂う。