
安倍晋三政権が推し進める安全保障関連法案に自民党から唯一反対の声を上げる村上誠一郎・元行政改革担当相(衆院愛媛2区)が30日、日本外国特派員協会で会見した。語られた「私はなぜ法案に反対するのか」は、同僚議員に向けられた「あなたはなぜ反対しないでいられるのか」という問いでもあった。
自国が攻められていなくても、同盟国が攻撃されれば戦争ができる。それが集団的自衛権。その行使を可能にするには憲法改正以外に道はないと考える。
正々堂々と発議し、国民投票に問う。賛成が得られれば行使を認め、否決されれば諦める。それが民主主義だ。時の内閣が解釈を変更し、憲法を変えられるのなら、憲法は有名無実化し、法治国家ではなくなる。
大多数の国民や憲法学者、法曹界が「憲法違反」で一致している法案を強引に通せば、日本の民主主義に多大なる禍根を残す。違憲の疑いがある法案を出すということ自体、以前の自民党では考えられない。もう一度思いとどまり、考え直す必要がある。
この法案で問題なのは、どこまで何ができるのかはっきりしておらず、国の存立が危ういと時の首相が認めれば、集団的自衛権が行使できてしまうことだ。
日本は戦前、軍部の独走を止められなかった。だから法案に歯止めがあるかどうかが重要。確かに国会承認という手続きはあるが、現在のように与党が圧倒的多数であれば法案を通すよりもイージーに通ってしまう。国会承認は残念ながら暴走を食い止める歯止めにはならない。