川崎市立中学1年の男子生徒殺害事件で、市教育委員会などは30日、遺体が見つかった同市川崎区の多摩川河川敷に手向けられた献花や供物を撤去した。事件発生から4カ月余、火災や増水などの危険性に加え、「河川敷を事件以前の姿に戻してほしい」とする遺族の意向に配慮した。
2月20日の事件発生直後から、現場には男子生徒の冥福を祈る人たちが全国から訪れ、献花して手を合わせる姿は今月になっても絶えなかった。
市の撤去方針決定後、バスケットボールや色紙など思い出の品の大半は関係者や現場のボランティアらに引き取られた。約20人の市職員らはこの日、残された焼香台や千羽鶴、ペットボトルなどをトラックの荷台に積み込んだ。
献花場所に置かれていた地蔵3体を自宅に引き取った東京都大田区のボランティア男性(56)は「恐らく万単位の人が訪れた場所。多くの気持ちを大切にして、自分なりに供養したい」。川崎区の無職男性(70)は「かわいそうとしか言い様のない事件。これで一区切りになってしまうと思うと、少し寂しい」と話していた。