箱根山(箱根町)の大涌谷斜面で29日、新たな噴気孔が見つかり、そこから噴き上げられた土砂とみられる降下物が周辺に降り注いだ。4月下旬に始まった火山活動は落ち着いてきていたが、この日は火山性微動が初めて観測されたのに続き、微小な火山性地震が急増。斜面から噴出する蒸気も勢いを増した。
気象庁は火山活動の評価を「やや活発」から引き上げてはおらず、5段階の噴火警戒レベルは2(火口周辺規制)が継続している。 同庁によると、粒子状の降下物が確認されたのは午後0時45分ごろ。大涌谷の北1・2キロの上湯場付近で雨に混じって降り、車のリヤガラスなどに付着した。町や県温泉地学研究所にはこの時間帯以降、強羅や早雲山周辺で車や屋根に「火山灰のようなものが付いている」といった情報が相次いで寄せられた。
温地研とともに現地調査を行った結果、大涌谷の噴気地帯に新たな噴気孔が確認された。一帯は傾斜がきつい上に地盤がもろいとされており、噴気孔の形状からも地滑りによって形成されたとみている。
大涌谷の状況を確認した温地研の竹中潤研究課長は「噴石などは見当たらず、斜面の一部は何かが積もったような灰色をしていた」と説明。「斜面から噴出する蒸気はこれまでにないほど激しく、高さ200~300メートルにまで立ち上っていた」という。
気象庁によると、マグマが移動した際などに観測される火山性微動は午前7時32分から5分ほど続いた。そのころから微小な火山性地震が急増し、温地研の観測では午後10時までで266回を記録し、6月としては最多。大涌谷周辺で震度1~2相当となる有感地震も40回以上あった。