児童養護施設出身の若者の夢の実現を支えようと、奨学金支援プログラム「カナエール」のスピーチコンテストが28日、横浜市中区の市開港記念会館で開かれた。同プログラムで進学した6人が未来への情熱を発表。約360人の聴衆が夢をかなえる第一歩を見守り、エールを送った。横浜では昨年に続き2回目。
児童養護施設や里親家庭などで育った専門学校生や大学生が登壇し、自身の体験を踏まえて見つけた夢を披露した。「子どもは笑って成長するのが仕事」と持論を紹介し、子どもの成長に関わる仕事を目指す男性や、難民の姿に「自分よりも困難な人がいる。もっと頑張ろうと思い、彼らに救われた」という難民支援の道を望む女性らがスピーチ。児童養護施設の職員を目指す男性は来場した子どもたちに「自分も多くの大人に支えられた。周りを頼って」と呼び掛けた。夢は看護師という女性は「施設にいる子どもたちを応援して下さい」と聴衆に訴えた。
同プログラムを運営するNPO法人ブリッジフォースマイル(東京都)によると、児童養護施設など出身の若者は親を頼れず、大学や専門学校に進学して卒業するには学費と生活費を全て自分で賄う必要がある。「希望格差」に苦しむ中、全国平均75%の進学率は20%にとどまり、進学しても働きながら学び続ける生活に疲弊し、中退率は30%で全国平均の3倍に上る。
同プログラムは、スピーチコンテスト出場などを条件に一時金30万円と卒業まで毎月3万円の奨学金を支援。「資金」と「意欲」の両面からサポートする。
寄付やボランティアへの参加の問い合わせは、ブリッジフォースマイル事務局電話03(6842)6766。