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排せつケア、技術で支援 川崎、官民連携し実証実験

社会 | 神奈川新聞 | 2016年12月25日(日) 02:00

ぼうこうの尿の量を超音波で把握するセンサーを入所者の下腹部に装着する職員=福寿かわさき高津
ぼうこうの尿の量を超音波で把握するセンサーを入所者の下腹部に装着する職員=福寿かわさき高津

 介護現場で最も苦労する「排せつケア」の負担を軽減しようと、川崎市が民間企業とともに、最新技術を搭載した福祉機器の実証実験に乗り出した。排尿のタイミングを予知するセンサーや、臭気で排便を迅速に検知する機器を介護施設に無料貸与。企業の製品開発を支えるとともに、介護する人もされる人も気持ちが楽になる介護モデルの構築を探る。

 「就寝中に3~4回、職員に付き添ってもらいトイレに行く。尿がたまった時だけに行ければ、もう少しゆっくり眠れるね」

 今月から実証実験を行う現場の一つ、有料老人ホーム「福寿かわさき高津」(同市高津区久末)。入所する男性(79)はこう話し、下腹部に貼り付けたセンサーを見せてくれた。

 名刺サイズより小さい装置はベンチャー企業のトリプル・ダブリュー・ジャパン(東京都渋谷区)が開発中の「D Free」。ぼうこう内の尿量を超音波で計測し個人ごとに異なる排尿のタイミングを把握する。尿量から「あと10分後に排尿です」といった情報を職員のタブレット端末に無線で送る仕組みだ。

 同ホームでは夜間、2人の職員が35人の入所者を見る。身体機能の低下で自力でトイレに行けない人や便意と尿意を伝えられない人が半数を占め、おむつ点検や交換、トイレ誘導など定時排せつケアは平均2時間ごとに行う。トイレに行っても、排せつする時もしない時もある。

 施設長は「日中も含め排せつに費やされる時間が減れば、職員はもっとレクリエーションなどに力を注げる」と説明。さらに「利用者、特に女性は男性職員のお世話になることに羞恥心を感じる人もいる。タイミングが分かり、自分で排せつできるようになれば自信につながる。排せつの心配がなくなれば、日中に外出もできる。家族にはおむつ代の節約になる」とさまざまな効果を期待する。

 幸区東古市場の特別養護老人ホームではaba(千葉県船橋市)が手掛ける排便検知センサー「LiFi」と、パラマウントベッド(東京都江東区)の睡眠管理システム「眠りSCAN」を組み合わせた実証実験を行っている。

 LiFiはシーツに敷き、臭気で排便や排尿を迅速に検知し速やかなおむつ交換につなげるもの。眠りSCANは体動と呼吸で睡眠状態か否かを検知し、最大80人の入所者の状況を職員がモニタリングできる。

 パラマウントベッドの担当課長は「睡眠時にはおむつ外しで無駄に起こさないようにしつつ、排せつ後はすぐ処理しないと便もれでシーツを汚してしまうので、排便検知センサーを組み合わせた。職員の負担がどれだけ軽減されるか検証したい」としている。

 内閣府が2013年に行った世論調査では、介護で苦労したことは「排せつ(付き添いやおむつの交換)」(62%、複数回答可)がトップ。市次世代産業推進室は「介護現場の課題解決に産業の力を役立てながら産業振興につなげていきたい」としている。

 
 

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