
企業への就職が難しい障害者が最低賃金など労働法規の適用を受けて働く「就労継続支援A型事業所」について、中小企業の立場から可能性を考える「A型事業者全国フォーラム」(県中小企業家同友会主催)が25日、横浜で始まった。A型事業所は障害者に「ディーセント・ワーク」(働きがいのある人間らしい仕事)を提供しなければならないとして、事業所評価システム「ディーセント・ワーク達成度評価表」の発表などを行った。
評価表は、同フォーラム実行委(榎本重秋委員長)が作成した。ワーク・ライフ・バランス、公正・平等、能力・開発、収入、労働者の権利、安全衛生、セーフティーネットの七つの軸を設定。障害に配慮したフレックスタイムまたは時差出勤制度、障害のない人と同等の賃金体系、障害理解のための研修、生活支援のための地域の支援機関・専門機関との連携など計48項目の評価基準を設け、事業所を評価する仕組み。
同実行委メンバーで、発表を行った一般社団法人ディーセントワールド(東京都町田市)代表理事の天野貴彦さんは「中小企業であってもできる障害者雇用、社会貢献の誇りを持ってA型を経営すべきだ」と指摘。「良きA型モデルを築くキーワードがディーセント・ワーク」だと強調した。同実行委では、評価表をさらに進化させ、同友会のホームページから会員のA型事業者が利用できるようにしたいとしている。
同フォーラムは横浜市中区の神奈川中小企業センタービルを会場に2日間の日程で開催。全国から同友会会員、A型事業者ら約150人が参加した。初日は評価表発表を含む問題提起のほか、熊本、長野、神奈川のA型事業者が実践報告した分科会などを行った。26日はパネルディスカッション「私たちがA型事業所に取り組む意義」などを行う。