15日、日本外国特派員協会から日本記者クラブに会場を移した記者会見。早稲田大の長谷部恭男教授と慶応大の小林節名誉教授の批判は、政府が安全保障関連法案を合憲と主張する際に砂川事件判決を引いていることにも向かった。いわく、珍妙にしてご都合主義、と。牽強付会を恥じぬ振る舞いこそは安倍政権の特徴であり、危うさであるとの指摘だ。
長谷部恭男 早稲田大教授
集団的自衛権の行使容認のため憲法解釈を変えた昨年7月の閣議決定は、合憲性を基礎づけようとする論理が破綻している。
政府が武力行使の要件とするのは「わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」がある場合。この文言はいかにも限定的に見えるが、地球の裏側まで自衛隊を派遣して武力行使をさせようという政府の意図と文言の間には、常人の理解を超えた異様な乖離(かいり)がある。
安倍首相は「あれはしない」「これもしない」と言っているが、それは彼が現在そのつもりであるというだけで、明日になって、来年になって考えを変えればそれまでの話で歯止めは存在しない。いかにも限定的な文言も、武力行使を限定する役割は果たさない。