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鉄道コラム 前照灯(264)
利用客「1人以下」の駅の荒涼 北海道、消えた町の跡に

話題 | 神奈川新聞 | 2016年12月23日(金) 12:00

近年の利用客は1日平均「1人以下」の雄信内駅
近年の利用客は1日平均「1人以下」の雄信内駅

 最北端の稚内へと通じる宗谷線に、雄信内(おのっぷない)という無人駅がある。古い木造駅舎が風雪に耐え、山を負ってたたずんでいる。初冬の午前、普通列車で訪ねたその駅舎は、しんしんと冷え込んでいた。暖房もない待合室のガラス戸を開けて表に出ると、数軒の倉庫のほかは、丈の高い草が空き地を覆うばかりだった。

 近年の利用客は1日平均「1人以下」で、周辺のいくつかの駅とともに廃止がうわさされている。気温にも増して寒々しい雄信内の駅前に立ったとき、十数年前の記憶がよみがえった。

 道東の石北線金華(かねはな)駅。建設時の過酷な労働で知られる常紋トンネルの峠下に位置する。北見市の郊外でもあることから、この駅止まりの列車も走っていた。だが、私が訪ねた時の駅前は、既に町の「跡」になっていた。JRは今年の春、利用者がいなくなったとして同駅の営業を取りやめた。

 赤字ローカル線をどうするか。JR北海道の経営危機をきっかけとして、道内の鉄道に大なたが振るわれる気配だ。乗る人が減ったのならば、廃止論が浮上するのもやむを得ない。

 だが、その背景には、地方の小さな町から人が消えた、という現実が横たわっている。JR北海道をどうするか。その問いは換言すれば、過疎化の極まった北海道をどうするか、ということでもある。(さ)

 
 

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